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2011年3月14日月曜日

アートにできること、アートにしかできないこと


3月11日の午後、東北から関東を襲った東日本大震災。地震発生直後から、速報番組では津波にのまれる海辺の街や瓦礫の山と化した集落が映し出され、ツイッターにも被害を伝えるつぶやきが氾濫しています。終日テレビの凄惨な映像を見ていると、奇妙な緊張感に襲われ、自分も被災したような悲しい気持ちでいっぱいになります。

被災地の方たちの痛みを理解するのは大切ですが、被災しなかった私たちが心的被災者になっている場合ではありません。私たちは、被災した方々を支援できるよう元気でいなければと思います。

大手スーパー、コンビニエンスストアによる食糧や飲料水の提供、募金の受付をはじめ、ツイッターではシーチキンランプや携帯トイレの作り方といったサバイバル術や、医療相談を受け付けてくれる医師のリスト、外国人向けの情報提供窓口までさまざまな支援が寄せられる中、アートには何ができるのかずっと考えていました。
そんな12日の夜半に見つけた、名古屋市中区のギャラリー、INTROARTのツイート。

【INTROARTIST作品で届けます】フリッカーSET こちらでも閲覧可能!皆様夜間大変だと思います。不安だと思います。がんばって!http://www.flickr.com/photos/introart/sets/72157626248482102/

サイトには81点のドローイングや写真作品がアーティストのメッセージと共に掲載されていました(3月14日現在116点)。発信されたINTROARTの浜崎共子さんは、ギャラリーにゆかりのあるアーティストに「ニュースを見ているだけではなくて、何かできることからしましょう。ドローイングでも何でもいいです!被災者への、また現地でがんばっている人への激励の作品を送信してください!」と呼びかけたのだそう。

アートで被災地の方々の空腹感や寒さが紛れるわけではありません。とはいえ、住む場所や家族をなくした喪失感や、いつ日常生活に戻れるかわからない不安感を少しでも和らげることはできるのではないでしょうか。また、ニュース映像や被害情報によって心的ストレス症候群の予備軍となっている多くの人々の気持ちもほぐしてくれると思います。

ほかにも「節電ポスター」(http://setsuden.tumblr.com/)など、節電を啓蒙しながら被災地の方に温かな気持ちを届ける、グラフィックデザイナーならではの仕事も発見。募金をするのも大切ですが、お金には代えられない、アートにしかできない支援を考えていけたらと思います。
(3月13日、文責/田中由紀子)